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結婚式
結婚式は教会で行われた。いすずは真っ白なドレスを着て、僕もいつもよりしっかりした服を着せられた。
真っ白なドレスに包まれてるいすずはとても綺麗だった。髪も結ばれているようだ。すごく可愛い。
それから誓いの言葉というものに、はい、と返事をし、大きなケーキを切り、みんなでご飯食べた。
そして、お金を貯めて前の家に戻ることにして、しばらく働き、前の家に戻った。
気付けばいすずは年老いて、30年は経過していた。
時間とは恐ろしいものだと思った。僕にとってはそんなに長くない時間。でも人間にとってはとても長い時間だったのだろう。
そんなこと、考えなかった。いすずはずっと一緒にいると約束をしたはず。この前、式を挙げたはず。出会ったのもついこの前でー。
出会った日のことも、一緒に砂浜を歩いたのも、街に行ったのも、僕にとってはついこの前のことなのに。昨日のことのように思い出せるのに。あの時は戻ってこない。
そして、いすずが寿命で亡くなる日、また約束をした。
「もし、生まれ変わってあなたと出逢えるならまた一緒に居てくれますか?」
「うん、もちろん…」とすぐ答えると彼女は安心したように微笑んで目を閉じた。
僕は何日もそこから動けなかった。
変な臭いがして、我に返る。
そうだ。人間は埋葬しなければと思い出し、土に埋めて綺麗な大きめの石を上に置いた。
それから、どうしようか迷い、生まれ変わったいすずを探す旅に出た。
ひたすら歩き、もう何十年経ったか分からない。
何度季節が変わっただろう。何度太陽が沈んだのだろう。
街を村をいくつもいくつも回ったが、あの子は居なかった。
そんな時間はとてつもなく長く感じた。
僕は途中で草原を見つけ、入ると周りが光った。結構有名なこの辺に住んでる虫かもしれない、と思った時、急に意識が遠くなり、そのまま意識を失った。
目覚めると傍に青年がいた。
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