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1話
それは高校二年生の秋の頃のことだった。
あたしは名前を鈴木里絵という。
一つ上の彼氏ー狩野涼とつきあい始めてから、二年が過ぎようとしている。
普段は涼君と呼んでいるけど、目つきが悪く、体格も良いため、生徒たちからは密かに恐れられていた。
しかも、剣道部のエースだから、よけいにだった。
けど、本来の性格は温厚だとあたしは知っている。
それに、あたしには未だに手を出していない。せいぜいがキスをするくらいだ。そんな涼君だったけど。
ある日、あたしが親友の可奈の家に遊びに行って、帰りが遅くなった事があった。
可奈はあたしの同級生でクラスメイトなのだ。
以前は同じ名字の鈴木美佐さんと友人だったけど、可奈の彼氏ー宮原和人との一件で友達解消されていた。その後、美佐さんは夏休みが終わった頃、東京の高校へ転校してしまった。
可奈は最初の一ヶ月くらいは寂しそうにしていた。
そんな彼女を宮原は慰めていた。
二人はつき合いだして、今で半年は経つ。
キス止まりだけどうまくやっている。
さて、あたしは帰り道を急いでいた。
自転車をとばして、かなりの速度で走っていた。
家まで、後少しだ。
「ああ、遅くなっちゃった!お母さんに叱られる」
背中に冷や汗が出そうな気分でいたから、心臓がばくばくと鳴ってうるさい。
家が見えてきて、急ブレーキをかける。ききっと音が鳴って、自転車が止まった。あたしはぜいぜいと言いながらも、自転車を家の車庫の前に置いて、鍵をかけた。
辺りはすっかり暗くなっている。
慌てて、鍵をバッグの中に入れて、玄関まで行こうとした。その時だった。あたしは後ろから、誰かに抱きすくめられたのだ。
振り返ろうとしたけど、強い力で押さえ込まれているためにできない。
「…少しは警戒心を持ったらどうだ。こんな暗くなるまで、何をしていた」
耳元に囁かれて、あたしは驚いてしまう。
「て、ちょっと。その声、涼君?!」
「そうだ。お前、いくら樋口さんとのおしゃべりが楽しいからって。少し、帰ってくる時間が遅すぎだ」
呆れたように言われて、あたしはしゅんとうなだれた。
「ごめん。ちょっと、可奈の家で昔のアルバムを見せてもらっていたら、遅くなっちゃって。一応、お母さんには電話を入れておいたんだけど」
そう素直には言ってみたけど。
涼君は機嫌をさらに、悪くしただけだった。
「だとしても、既に六時は過ぎているぞ。おばさんが俺に電話をしてきてな。どれだけ、待ったと思ってる」
あたしは驚きで目を大きく、見開いてしまった。
涼君は抱きしめる力を強くしたかと思うと耳にキスをしてくる。
滅多にやられないので、敏感に反応してしまった。
うなじにもされて、顔が熱くなる。
手が首筋や鎖骨の辺りを撫でてきた。
「ん、涼君。ここは外だから、止めておいた方が」
あたしがそう訴えても涼君はやめてくれない。
鎖骨から下りて、胸に至った時にあたしは離れようと身をよじる。
けど、がっちりと腕をお腹の辺りに回されて、逃げられなくさせられた。
うなじにもう一度、キスをされる。
肌寒い空気なのに、身体は熱くてたまらない。
涼君が暴走しているとこの時は思った。 左手で身体を押さえられて、右手で胸を揉まれる。
手つきは性急で乱暴だけど感じてしまう。
「…里絵、帰るのが遅くなった罰だ」
掠れた声で言われて、あたしは観念しようとした。
けど、ここはあたしの家だ。
さすがに、こんなところを近所の人やお母さんに見られたくない。
そう言おうとしたけど、涼君はあたしの服の中に手を入れてきたのだ。
さすがに大きな声を出そうとした。
けど、とどめとばかりにこんなことをいわれる。
「里絵、声を出したら。最後までここでするからな」
簡潔にいわれて、あたしは出しかけた声を飲み込んだ。
それを良いことに涼君は下から潜り込ませた手でブラ越しに胸を揉んできた。
「…あ、ああ」
さらに、ブラの中にある胸を掴んで、乳首を指で挟まれる。たったそれだけで、足腰が崩れそうになった。
涼君はあたしの身体を前向きに回させると、噛みつくようなキスをしてきた。
何度も角度を変えてされる。それが深いものに変わった時、唇を舌でなぞられた。
ぞくぞくと快感が背骨にまで伝わってくる。
あたしが甘い声を上げそうになった時、ぴたりと涼君は愛撫をやめた。
あたしの脱がしかけたシャツを直してくれる。
「…すまない。ちょっと、頭に血が上って。いやだったか?」
本当に悪いことしたとは思っているらしい。
涼君にあたしは首を横に振って、いやではなかったといった。
けど、ばつの悪そうな顔であたしに謝りながら、帰っていった。それを見送りながら、あたしも背中を向けて、家に入った。
翌日は土曜日だったから、涼君の家に遊びに行った。
目的はまあ、昨日の続きをしにだけど。初めてはやっぱり、好きな人としたいし。
そんなことを考えながら、涼君の家の中に入らせてもらう。昨日は帰りが遅かったから、お母さんからお説教を食らった。それも一時間も。あたしはそれを思い出して、小さくため息をつく。
すると、玄関で出迎えてくれた涼君に尋ねられた。
「…どうした?」
「ううん。何でもない。えっと、お邪魔します」
ごまかしながら、玄関の上がり框(あがりがまち)をあがる。
涼君の家は一言でいうと、純和風で大きなものだ。
お屋敷といってもいいくらい。
いつも、あたしはその広さに圧倒される。
廊下を歩いて、階段を上がり、涼君の部屋へと行く。
今日はご両親や妹さんは出かけていて、夜にならないと帰ってこないらしい。
あたしはチャンスだと思った。嫌らしい事を思いつくなと自嘲するけれど、今のような好機はそうそうない。
思い立ったら、即行動だ。
あたしは部屋にドアを開けて、入る。
勝手知ったるものだ。
「じゃあ、何か飲み物を持ってくる。コーヒーでいいか?」
「あ、うん。それで良いよ」
笑顔でそう答えると涼君はうなずきながら、部屋を出て行った。
あたしはどうしようかと考える。
とりあえず、ベッドの上に座ってみた。シーツは淡い青で男の子らしい色使いとなっている。
クッションもふかふかで涼君の匂いがした。
昨日は驚いたけど、あの気持ちよさが忘れられない。
目を閉じて、胸元を押さえた。
まだ、うなじの辺りがチリチリする。
可奈が宮原を見ると、身体が熱くなると言っていた。それって、いわゆるあれのムラムラなのではとあたしは思う。
そんなことを考えていたら、ドアが開かれた。
目を開けると、黒いTシャツにグレーのズボンをはいた涼君がマグカップを両手に持って、立っていた。
「コーヒー、持ってきたけど。里絵、何でベッドの上なんかに座っているんだ?」
不思議そうにされて、あたしは急いでベッドから下りた。
「ご、ごめん!ちょっと、ふかふかして気持ちよさそうだなと思って」
「…そうか。だったら、いいんだが」
マグカップをテーブルに置きながら、涼君は答える。
あたしの前方に座ると、ブラックで入れたらしいコーヒーを口に運ぶ。
その様を見ていると、つい、口元に目がいってしまう。
涼君はあたしの視線に気づいたのか、マグカップをテーブルにもう一度、置いた。「…里絵。どうしたんだ?さっきから、様子がおかしいぞ」
いぶかしげに問われて、あたしは慌てた。
どうしよう、昨日の続きしてとはいえないし。
すると、どう思ったのか、涼君は黙ってあたしに近づいてきた。
すぐ側に座ると、あたしの両肩に手を置いた。
「…もしかして、昨日の続きでもと考えていたか?」
ずばり言われて、あたしは固まった。何で、わかるの!
恥ずかしくて顔を見られない。
「わかった。やってもいいぞ?お前が嫌じゃないならな」
だから、何にもまだ、言ってないってば。YESもNOも言ってないのに、一人で勝手に決められた。
涼君はあたしの顎を指で持ち上げると、そっと、軽くキスをしてきた。
それを皮切りに激しいキスに変わっていった。
昨日は唇をなぞられただけだったけど、今日は違った。
舌で口内の至るところをなぞられる。まずは歯列で次が上顎の内側で。舐められるたびに、頭が痺れるような電流が背筋を走る。
「…ふぁっ。あっ」
声が出て、よけいに涼君のディープキスは激しくなった。
しばらく、互いに唇を貪り合うと、首筋に下りていく。
同じようにキスをされて、吸い上げられた。
ちくりと痛みがする。
キスマークを作って涼君はご満悦になったらしく、あたしの耳たぶをはんだ。
もう片方も同じようにされる。
そして、首筋や頬に軽くまた、キスをされた。
「里絵…」
あたしの名前を呼びながら、うなじをさっと撫でてくる。
胸も優しく揉まれて、あたしはさらに声をあげた。
胸を揉まれた後で涼君にベッドに促された。
押し倒されて、両腕を身体の横に押さえられる。
ぎしっと二人分の体重がベッドにかかって、音がなる。
涼君はあたしのシャツを上にたくし上げると、ブラを外しにかかった。ホックを器用に外すと、床にぽいっと放る。
そして、下から押し上げるように揉んできた。
上半身を裸にされて、あたしは隠したかったけれど、無理な話だった。
「…ふぁ、あん」
乳首を指で押し上げられて、また声が出る。
未開の分野なため、互いに手探り状態だ。
けど、涼君はあたしの胸を舌でぺろりと舐めてきた。そして、乳首を口に含んで、転がしだした。
あまりの刺激に大きな声が出てしまう。
「…ああ!」
「里絵、胸が弱いみたいだな」
低い声で言われて、顔が熱くなる。
黙っていると、ぴちゃと音を立てられながら、また舐められた。
何度もそれを繰り返されて、わき腹や背中などをなで上げられる。
上半身をくまなく愛撫されると、はいていたスカートを脱がされた。
ハイソックスと下着だけを残して、ほぼ裸に近い状態にされた。
膝なども撫でられて、すっかり、身体は気持ちよさのために弛緩していた。
下腹部がきゅんとして、疼いた。
涼君はあたしの一番敏感な場所ーパンツの中に手を入れてきた。
既に、そこは濡れていて、涼君の指を汚す。
それもお構いなしにいじってくる。くちゅくちゅと水音がして、指でかき混ぜられる。
襞の辺りを指でなぞられて、身体がびくんっと跳ね上がる。
「あ、ああん!」
クリトリスをいじられながら、あたしはただ、泣かされるしかない。
まだ、誰にも触られたことがなかったから、未知の感覚だ。
涼君はしばらく、指でかき混ぜるようにした後で膣の中にも入れてきた。
「…きついな」
一本を入れられただけで痛みが走る。
それに異物感があって、気持ちよさは頭から逃げていくようだった。
「…ちょっ。いきなり、入れないで。痛い」
「ああ、悪い。これだけ、とろとろだったら大丈夫かと思ったんだ」
そんな訳ないとあたしは首を横に振った。
けど、指でゆっくりとかき回されるとまた、気持ちよさが背筋を這い上がってくる。
「あうっ、ああ!」
二本目を入れられる頃には本当に中はとろとろになっていたらしく、たやすく入った。
ぐりと敏感な場所をこすられて、さらに高い声が出る。
「すごいな。指が締め付けられてる」
本当に感心したように言われるけど、あたしはそれどころではない。
中がうごめいて、涼君の指を飲み込もうとしているのがわかる。
指をばらばらに動かされながら、キスをされる。
舌をからめ取られて、頭が一気に痺れるような感覚になった。
指を抜かれると、涼君はあたしの足を大きく広げた。
顔を秘裂に埋めると、襞の辺りをいきなり、舐めあげられた。「あ、やあああっ!」
大きな声で喘いでしまった。
さっき、指でさんざん触られたのに、今度は口ですか?
あたしはそう思いながらも声をあげるしかない。
クリトリスや膣の周りを丹念に舐められる。
ぴちゃくちゅっと音を立てながら、涼君は何と、指を膣の中にもう一度、入れてきた。
クリトリスを舐めながら、指をゆっくりと出し入れする。
「あ、ああー!」
あたしは意識が放り出されそうになる感覚に襲われた。
涼君の首にすがりつくと、身体がびくびくっと震えるのを止められなかった。
涼君はあたしへの愛撫を中断して、こちらを見てきた。
口を手で拭うと、にんまりと笑いかけてくる。
「里絵、イっただろう?」
「…え、あ。そうなの?」
反対に問い返してしまった。
涼君は怒ることなく、あたしの頭を撫でてきた。
「ちょっと、やりすぎたか。初めては痛いらしいから、丁寧にしてみたんだが」
「…やりすぎってことはないよ。気持ちよかったから」
素直に言うと、涼君はそうかと頷いてきた。
そして、自分もさっさと服を脱ぎだした。
トランクスも脱いでしまうと屹立したものがあたしの目に入る。
大きくて、こんなのがとあたしは愕然とした。
入るのかな、あれ。正直、そう思った。涼君はあたしの上に覆い被さってくると、膣口にあてがってきた。そして、ゆっくりと入ってきた。
途端に身体が引き裂かれる痛みに絶叫しそうになる。
「…いっ、痛いー!」
痛がりながら、足をばたつかせると涼君に注意された。
「里絵、暴れるな。ゆっくりと息を吐いてみろ」
あたしは言われた通りにすうはあと息を吐いたり、吸ったりした。
少しは楽になって、涼君はその瞬間を狙って、奥に進んできた。
全部、入りきると、痛みと圧迫感に眉をしかめる。
涼君はゆっくりと腰を動かしてきた。
「…痛いけど。ごめんね」
謝ると、苦笑いされた。
あ、その笑い方、反則ですから。
「別に謝ることはない。俺も初めてなんでな。自分で調べたりはしたんだけど」
そう言いながら、律動はやめない。
気持ちよさは感じないけど、向こうはそうでもないらしい。
「里絵の中、締め付けがきついけど。温かいな」
本当に気持ちよさそうに言われたので、嬉しくなる。
けど、それから何分か経つと涼君も余裕がなくなってきたのか、動きが早くなった。
あたしはあまりの衝撃に声を出すしかない。
痛さとほんの少しの気持ちよさに翻弄されながら、涼君の首にしがみついていた。
「…くっ!」
涼君はうめきながら、あたしの中に出した。
あまりの出来事に呆然とするしかない。そういや、コンドーム、避妊具を持ってきていなかった。
あたしはどうしようと思った。
涼君はぶるりと身体を震わせると残りの精液を吐き出したらしかった。
さすがに、若いな。もしかしたら、妊娠しちゃうかもな。
そしたら、親になんて言おう。
ぐるぐると考えていたら、ずるりと引き抜かれた。
喪失感はあったけど、それも刺激になって声が出てしまった。
「あ、ああっ」
けど、涼君は手早く服を着始めたので、あたしも起きあがった。
すると、股の間からどろりとした液体が流れ出してくる。
赤いものも混じっていて、あたしは血だと気づいた。
あたしがじっとしているのに気が付くと、涼君はカーペットの上にあったティッシュを手に取った。それで下半身を拭いてくれる。
「里絵、今だったら、母さんたちいないから。先に服着て、シャワー浴びてきな。今のままだと嫌だろ?」
あたしは頷いて起きあがると、服を着たのであった。
急いで、バスルームに向かうと脱衣場で服を脱いだ。
ドアを開けて、中に入ると、蛇口をひねった。
さあっとお湯が出てきて、身体についた汚れを落とした。
髪を濡らして、シャンプーをする。
念入りにやると、かなり泡が立つ。
熱心に頭を洗い、泡を洗い流した。
身体も借りたタオルにボディーソープをつけて、洗った。
下半身の違和感は温まったせいか、ましになる。身体も念入りに洗うと、シャワーのお湯で洗い流した。
しばらくして、気分的にもすっきりしたので、蛇口を捻って、お湯を止めた。
バスタオルを手に取って、身体についた水気をふき取り、バスルームを出る。
もう一度、服を身につけて涼君の待つ部屋に戻った。
ドアを開けると、声をかけた。
「…涼君、シャワー終わったよ。貸してくれてありがとう」
お礼を言うと、涼君は立ち上がった。
「わかった。俺もシャワー浴びてくる。待っててくれ」
そう言いおいて、部屋を出て行ってしまった。
あたしはその間、待ち続けた。
涼君がシャワーから上がってくると、あたしは髪を乾かせと言われる。
仕方なく、ドライヤーを借りて乾かす。それも終わると、あたしはバッグを持って涼君の家を出た。
「…じゃあ、バイバイ」
「ああ、また明日な」
そんな会話をしながら、帰路に着いた。あたしは痛みと違和感と格闘しながら、家に帰った。
それから、身体を求められる事が続く日々を送ることになったのであった。
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