丘へ登ろう

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「町はずれの丘に、怪しい生き物が潜んでいるらしいぜ、探しにいかないか?」  高校からの帰り道、トモヤの唐突な一言から、今週末の予定が決まることになる。 「怪しい生き物ってなによ?」  否定するのは簡単だが、とりあえず続きを聞いてみることにした。 「なにって言われても、詳しくは知らないんだけどさ。とにかくいるらしいよ、夜によく見つかるんだってさ」 「生き物って言ってもいろいろあるじゃん。宇宙人とか、ツチノコとか。新種の……UMAっていうんだっけ? そういう、ほらあれ。ビッグフット的なヤツとかもあるでしょ」 「俺も詳しく聞いたわけじゃないんだって。でも、人がいなくなったりとかはないし、そんなに危険なヤツじゃないよ、たぶん。丘の上の方で見つかるんだって。とりあえず探してみようぜ」  詳しいことはほとんど何もわからない、とてもフワッとした情報だけで僕を誘ってきているらしい。そんなにヒマそうにみえるのか。  とはいえ、僕らはいつも特に目的もないまま町をぶらぶらして時間をつぶすことが多い。いつもよりも少しだけでも目的があるだけいくらかマシというものか。
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