美少女と男心と本心と

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「はい、ここ、おすわり」  ベッドの縁に座ったラファエルが、自分の膝の上をポンポンと叩いて、俺を呼ぶ。まじで本能に抗えない。身体が勝手に動いて、俺はラファエルの膝を跨ぐように向き合い、そこに座った。 「いい子だ」  正面のラファエルがケモ耳ごと俺の頭を両手で撫でつける。  ――くそ、もっと褒められてぇ。  この構って癖と甘え癖は、地元に居たときからなにをしても治らなかった。褒められれば嬉しいし、大抵のことは言われれば従ってしまう。ラファエルと会ってから、それが強くなっている気がする。 「ラファエル……ッ」  苦しくて、俺はラファエルの首に両腕を回して抱き付いた。 「もう解放してくれ、逆らえないんだ……」  言葉と裏腹な行動を取っているということは分かっている。これでも本能の歓びを満たされる感覚と闘ってるんだ。左右に揺れる自分の尻尾が憎い。 「ごめんね、私は君が欲しい」  ラファエルの手が、また俺の背を優しく叩く。 「血か? っ、飲んだら、俺、部屋戻るから」  血を飲まれたら、おかしくなっちまうに決まってる。いまだっておかしいが、身体が熱くなって動けなくなって……、だから、血を飲むならぜってぇ意地でも自分の部屋に戻ってやるんだからな。
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