亜人の森

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「こんにちは。お世話になります。マルクエン・クライスと申します」  そう言ってマルクエンが頭を下げると、女性も深々と頭を下げる。 「恐れ入ります。勇者様方のお世話は私、バムが務めさせていただきます」  と、そこまで言って。バムという女性は次にマルクエンの顔をじっくりと見た。 「勇者様、良いお顔をなさってらっしゃいますわ。私があと二十年若ければ……」 「ははは、ご冗談を……」 「バムおばさん! マルクエン様を困らせないで!」  コラーが焦って言う。バムは笑っていた。 「そう、それにマルクエン様のツガイになるのは私!!」  セロラが勝手なことを言うと、バムはニヤニヤと笑う。 「あら、セロラちゃん玉の輿? 頑張って勇者様に気に入られるのよ」 「任せて!」  バムは次にラミッタの方を向いた。 「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」 「ラミッタ・ピラです」  何だか不機嫌なラミッタはムスッとして言う。 「ラミッタ様ですね。それはそうと、こんなに可愛い女の子が勇者様だなんて、信じられませんわ。演劇の女優さんかと思いましたわ」 「バムおばさん!! ラミッタ様に失礼だろ!!」 「あら、ごめんなさい。それではお荷物をお運びしますわ」 「いえ、我々の荷物は重いので部屋にだけ案内していただければ」  マルクエンが言うと、バムは「まぁ」と両手を合わせる。 「顔が良いだけじゃなくお優しいのですね。あぁ、あと十年若ければ……」 「二十年じゃなかったのかよ!!」  コラーがツッコミを入れると、マルクエンハハハと笑う。 「それではこちらでございます」  案内された部屋は城の一室に比べたら見劣りするかもしれないが、充分な広さがあった。  荷物を置いて、マルクエンは話す。 「ありがとうございます。それで、早速箱の確認をしたいのですが」 「はい! ご案内します! あぁ、それと、今更ながら、私も勇者様の身辺のお手伝いを任されていますので、何なりとお申し付けください!」  コラーはピシッと背を伸ばして言う。 「あー、コラーさん。そこまで緊張しなくても良いですよ」 「そ、そうですか?」  マルクエンに言われ、少し肩の力を抜くコラー。 「それじゃ行こうかしら」  ラミッタは片目を閉じてふぅーっとため息をついてから部屋を出た。 「この先に箱があります」  コラーとセロラの案内で村から少し歩いた先に向かったマルクエンとラミッタ。  見張りの兵がマルクエン達に気付くとざわつき始めた。
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