亜人の森

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「おはようございます。マルクエン様、朝食のご用意が出来ております」  寝付きが悪く、寝不足のためか、部屋のノックにも気付かずに眠るマルクエン。 「宿敵、起きなさい」  一足先に起きていたラミッタは部屋のドアを開ける。  ベッドの上ではマルクエンが気持ちよさそうに眠っていた。 「ほーら、起きなさいってば」  体を揺すって起こそうとするも、マルクエンはうーんうーんと言って寝続ける。 「ダメみたいねこれは」 「ご用事があるまでそのままでも結構ですよ」 「そうね……。おかみさん、悪いけど私は先に朝ご飯を頂くわ」  ラミッタはそう言って一階に降りていく。 「んあっ」  そんな間抜けな声を出してマルクエンは目が覚めた。  外を見ると、だいぶ日が登っている。完璧に寝過ごしたなと思った。  一階に降りると、バムが掃除をしており、マルクエンに気が付くと頭を下げる。 「おはようございます。マルクエン様」 「おはようございます。ッと言っても、結構寝過ごしたみたいですけどね」  ハハハと笑うマルクエン。つられてバムもクスクスと笑う。 「ラミッタ様は村で聞き取り調査? をなさっているようです。お食事は今ご用意しますね」 「お願いします」  朝食を食べ終え、マルクエンも外へと出た。 「あ、おーい。ラミッター!」  ラミッタを見付け、声を掛けるマルクエン。 「おーいじゃないわよ。ネボスケ」  冷たくあしらわれてしまうが、その通りなのでぐうの音も出ない。 「すまんすまん」 「まぁいいわ。それで、村の人達に箱のことや魔人のことを聞いてみたんだけど」 「それで、どうだった?」  マルクエンが尋ねると、ラミッタは片目を閉じてため息を付きながら言う。 「魔人が三週間前に来て、箱も落としていったんだって。その時に箱から魔物が溢れたけど、どうにか戦って撃退したって」 「そうだったのか……」  うーむと考えるマルクエン。  そんな二人の元に駆け寄る影があった。 「マルクエン様ー!!」  そう言って飛びかかったセロラは思い切りマルクエンに抱き付く。 「こ、こらセロラ!! マルクエン様に失礼だろうが!!」  コラーが注意をするも、止まらないセロラ。  ラミッタはジト目でそんな光景を見ていた。
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