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見上げる 満月は まん丸で 真っ白だ。
心にぽっかり空いた穴と一緒。
真っ暗な空の上にある月は、
まるで出口の穴のように見える。
全くもって迷路の先の世界。
この先の出口に私はたどり着けるのか。
いや待て、違う!
かぐや姫だって月から来たんだから
どこの世界と繋がってたっておかしくないわ
じゃあ、未来への入り口ってことで
しかし、そう簡単に未来への扉が開くはずもない。
先ほどまで明るかった景色は、
急に雲に邪魔されて、辺り一面暗くなる。
満月が陰る。
淡い期待も見事に消えた。
くっそ!私の人生、 新たな未来も「なし」か!
あーもう、
イケメンだったらもはや人間じゃなくてもいい……
狼のように耳が生えようが
多少 言葉が通じない宇宙の住人だろうが
例え、この世のものでなくても構わない
私に恋をさせてくれ
愛する前に愛されたい
圧倒的に大事にされたい
甘やかしてもらいたい
歩みが止まる。
動かなくなった、自分の足。
前に進めない理由。
私はこんなにも欲張りだったのか……
思ってもいなかった自分の本心に気づく。
立ち尽くしていると、いつのまにか 周りが明るくなる。上を見上げると満月が見える。
先ほどと変わらず一点の欠けもなく、
満点の輝きを放つ。
何の陰りもなかったかのような、明るい月明かり。
誰も見ていない
私の心がむき出しにされた瞬間
満月の夜は 危ない。
もう一人の知らない自分に出会う そんな夜。
一人で歩くのはやめよう
しかし 、例えパートナーに巡り合ったとしても
危険なことに変わりはない
知らなかった『本当の私』は、いつだって
背中合わせ なのだから。
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