満月への道

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「今日の満月は特にキレイだな」 婚活パーティーの帰り道。 何の成果も手応えもないまま、 私は夜道をひたすら歩いていた。 しかし 満月のおかげだろうか。 明るく照らされた道を迷うことはない。 ……はずなのに、 今の私は人生の迷路の中を さまよっている。 どこが正解かもわからない 、 過酷なラビリンスのど真ん中にいる気分。 パーティー中、男性に ほとんど声をかけられる こともない30代半ばの私は、自らの商品価値を 自覚する。 身なりを整えオシャレした。もちろん 控えめに。 お金をかける女だと思われたらいけないので、 男性が好みそうで、かつ清楚な洋服を選び、 言動も慎ましくした。 しかし私に興味を示して 連絡先を交換する男性は最後の最後までいなかった。 あまりに 暇すぎて、会場内にいながらスマホを いじる。すると、本日は満月という、今の私に とっては誠にどうでもいい情報が入ってきた。 しかも10月は「ハンターズムーン」というそうだ。アメリカの先住民が、季節を把握するためにつけた名前。 狩りの月…… 今の私への皮肉だろうか…… はい、見事に失敗しました 20代の時はそれなりに需要があった。 恋人もいた。 男性と気が会えばいい雰囲気にもなった。 しかし30才を超えてから、明らかに女性として 相手にされなくなったと感じる 。 答えは簡単。男性は若い子が好きなのだ。 20代の女性に自然に目が行ってしまうからだ。 結婚を意識し始めた 去年からは、もはや私を女性としてみてくれる男性との出会いは、職場内や 日常生活にはなかった。 しかし結婚したいのか どうか、 本当は今でもよく分からない。 結婚していく子が羨ましいとか? 1人の生活に不安があるから? そんなことない 私はちゃんと生活している 正社員で仕事もしている 友達もいる プライベートも趣味で充実している 地に足ついて頑張って生きている 何をそんなに焦っているんだろう?
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