真っ白な世界

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キッチンへ入ると、既に後藤さんがいて食卓の準備をしていた。 私と紅葉さんの気配に気づいたのか、にっこりと微笑んでくる。 「おはようございます、紅葉さんと伊藤さん。ご飯が出来たので座ってください!」 「ありがとう、隆哉。」 「ありがとうございます、後藤さん。」 それぞれ私達は指定された場所へ座わる。 目の前には温かいご飯に味噌汁、玉子焼きに、豆腐と野菜炒めにぬか漬け入りの茄子ときゅうりに大根がある。 飲み物は私には温かいお茶。 茶葉のいい香りが、一段と心を穏やかにさせた。 「いただきますーーー!」 まずはじゃがいもとわかめ入りの味噌汁を口につける。 「美味しいです。」 「そ?ありがとう。」 にこっと笑う私の側では、何故か後藤さんが不機嫌そうな表情をしている。 ん? 「隆哉、これだけで焼きもちやかない!」 紅葉さんが小声で何か話しかけている。 それを見た櫂さんは苦笑いをしている。 不思議そうに首を傾けた私に気がついたのか、後藤さんも味噌汁に口をつけた。 「櫂さん、美味しいっす!」 「良かった、隆哉が気にいるとは。」 にっこりと笑った櫂さんも味噌汁に口をつけた。 「あの、ここではテレビはつけないんですな?」 何気ない質問に、皆さんの動きが止まった。 ん? 「ワイドショーなんて同じなものばかりだから見ない事にしているの。」 「そうだな、俺は新聞だけでいい。」 机に置かれてある経済新聞を見て、櫂さんはどや顔をした。
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