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タフって。
新入社員だと先輩とかの絡みで気を使うと思うのですが。
「新入社員を舐めるな、隆哉。」
私の思った通り、櫂さんは呆れたように溜息をつく。
「え、だって俺ボウソウ…………、いや。ゴホンゴホン。」
暴走族の総長だったからを言いそうになった後藤さんは、私を見て急に咳き込みだす。
ん?ボウソウ?って何ですか。
記憶を失っているせいか、そういう話はわからない私は首を傾けた。
事情を知っている櫂さんや紅葉さんは顔を引き攣らせているし。
なんなんだろう。
私の疑問が顔に出たのか、櫂さんと紅葉さんが困ったように顔を見合わせた。
「隆哉、海鈴ちゃんは記憶を失っているのよ?発言には気をつけてよね。」
「は、はい。気をつけます。」
紅葉さんの鋭い眼差しに、後藤さんは萎縮してしまう。
まるで、子犬のように小さく見える。
「あ、あの、私は別に大丈夫です。記憶を失っているから仕方がない事で、後藤さん気にしないでくださいね。」
「伊藤さん、ありがとうございます!」
にこりと微笑んだ私に後藤さんは感動をしている。
「……………これでも、だったのかねぇ。」
後藤さんの姿を見た櫂さんが呆れたように溜息をつく。
それを見た後藤さんが櫂さんへちらりと意味深に見つめていた。
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