真っ白な世界

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真っ白な世界

朝早くから見る海の色は鮮やかで綺麗。 エメラルドグリーンの深い色は見る度に心を解かしてくれる。 空高く見える陽射しが柔らかくて、風に吹かれてくる潮の匂いは癒しそのものだ。 毎朝の光景だけど、私にとっては贅沢すぎる。 だって、私は。 「おはよう、海鈴(かいり)ちゃん♪今日も此処にいたのね。」 心地よい声が聞こえてきてゆっくりと立ち上がる。 振り向こうとした時、優しく肩に手が置かれる事に気がついた。 「いいのよ、椅子に座ってて。」 ふわりと優しく微笑む女性に小さく頷いた。 「ありがとうございます、紅葉(もみじ)さん。おはようございます、いつも早いんですね?」 「何を言っているの?海鈴ちゃんがいつも早起きなの。だから私は少しでも一緒にいたいから頑張っているの!まあ、早起きは得だとも言われているしね。」 エヘッと可愛らしく笑う紅葉さんにつられて、私も小さく笑った。 「あの、紅葉さん。」 「あの、後藤さんでしたっけ。制服姿で現れた男の人。」 「隆哉がどうしたの?」 「なんで、あんな事を言ったのか不思議なんです。私達初対面ですよね?」 「…………初対面ね。」 意味深に呟いた紅葉さんへ不思議そうに見る。 「それよりもね、朝ご飯を食べに行きましょう♪」 可愛らしく笑う紅葉さんから、歩くように促された私は立ち上がり別荘へ向けて歩いていく。
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