大切なもの

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支払いの直前に突然の着信音。 「…あ、バイトの先輩からだわ。ちょっとこれで払っといて」 美花にサイフを押し付けて俺はレジ前から抜け出した。 「えー…私、他人(ひと)のサイフ開けるのとか嫌なんだけど」 電話の後そのままドアの近くで待っていると、五分しないくらいで美花が両手にテイクアウトのドリンクを持って来た。 「サイフ、とりあえずバッグに入れちゃってる」 「おぉ、サンキュー」 右手からほうじ茶ラテを受け取ると、美花は空いたその手でバッグの中から俺のサイフを取り出した。 「…はい」 「ん?何ニヤニヤして…」 「見ちゃった」 「……え、何⁈」 「持ち歩いてるんだね…手紙」
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