十章 望まれた命と望まれなかった命

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父は母に婚約者がいることを知っていた。そして婚約者の子供を身籠ってることも。 それなのに、それでも、母を好きになってしまった。 母は正直、よくわからない。流されただけなのか、母としての責任を負いたくなかったのかーー “光”を生んだあと、直ぐに父の元に逃げてきた。 ただ父は母と生きた証が欲しかった。だから間違いを犯した。 間違いを犯したあと、母は天罰が当たったかのように京をこの世界に生み落とし、死んでいった。 まあ罰以前に母は元々身体が強くなかったらしい。2人目は出産できないだろうーーと言われていたらしい。 それでも父のエゴで京は生まれたのだ。 正直、母には望まれなかった命だった。 母は京を生むつもりは本当はなかった。 父とは遊びだったらしく、また光の父のところに帰ろうと思っていたのだ。 しかし父はお金にモノを言わせ母を自分のモノにした。物凄いお金を積み、母を自分の妻にしたのだ。 そして、無理に出産をさせ、死なせた。 母は京から見ても光から見ても自業自得だ。 それ以外に言い様がない。
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