十一章 “りりあ”と“けい”

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「ーーそうだな。まぁ今のまま会いに行っても逃げられるだけだろうな」 …愛までそんなことを言うなんて…鳴海が可哀想すぎて見てられない。声は聞こえなくても心が泣いているのが聴こえてきた。 「なぁ命、お前ならどう思う? いまのお前だからこいつに言えること、あるんじゃないか? まあ一ノ瀬とお前は違う人間だから参考程度にしかならねぇだろうけどな」 「ーー私は…」 菜穂子はまっすぐと命を見つめた。命の事情はなんとなくは聞いている。ただそういう境遇にいなかった自分にはどれだけ辛かったのか分からない。 「ーーもし、あのとき、私にも“友達”がいたら違ったのかなって思った。 でもそれは本当の“友達”だったから余計に素直になれなくて、こじれてしまったのかもしれなくて…… 一ノ瀬さんも、もうどうしたらいいのか分からないんだと思うの…… でも、もう一度友達になりたいならちゃんと話さないとはダメだとは思うの… 私も今があるのはきっと本当の“友達”ができたお陰だと思うし。 面と向かってが難しいなら、『ソウルフェイズ』で捜すのはどうかな?」 「ソウルフェイズ?」 聞き慣れない言葉に思わず鳴海が聞き返す。 「私たちもID知らないから捜すとしたら途方もなく大変だと思うけど」 「まーそれとなく近付けたらいいけどな。いきなり気付かれて逃げられたら話になんないんじゃねぇか?あんた隠し事下手そうだし」 「なっ…まあ当たらずとも遠からずだけどさ…でもそれでルーシー捜せるなら私、そのゲームやるわ!」 「迷いないね~」 「だって私には迷ってる資格なんてないもの」
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