十一章 “りりあ”と“けい”

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「つまんないこと聞いたね」 「え…いや…そんなこと」 「見つかったみたい」 「え」 京の指した先にいたのはゲームのなかで見たクサナギだった。 「やあ」 「君しかいないの?」 「ファミレスとやらの場所がよく分からなくてね。連絡先も分からないから困り果てていたんだよ」 コクりとうなずき、ニコリと微笑むクサナギ。ゲームで見てきたせいか初めて会った気はしない。 「他のみんなはまだ来てないだけ?」 「ごめんね。どうやらアキモト君のお父様が亡くなったらしくてね。2人共葬儀とやらにいってしまったんだ」 「えーーーっ」 そんな大事なこと、なんで連絡してくれなかったのーーー?!と突っ込みたい梨里杏だったがクサナギは連絡先を知らないし、光からは言いにくいし、光治もなかなか伝えられないだろうし、まあ仕方ないのかと思い直す梨里杏。 「オレたちのことは気にしないで遊んできてって光からの伝言だったんだけど、ボクがみんなと連絡を取れないことには急いでいて気づかなかったみたいだね」 フフフ、と微笑むクサナギだが長い間、こんな場所で彷徨い続けて少し可哀想だなと思う梨里杏であった。
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