十章 望まれた命と望まれなかった命

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「いいじゃんよー少しくらいさぁ」 「少しくらいが大げさになっていて、危険登校になりかねないのよ」 愛の言葉にいかにも“優等生”といった感じでななめは返す。そんなこんなしているとクラスの面々が次々と集まっていき、朝の会のチャイムがなる。 相変わらず光治は来ていない。本当に朝が弱いなあと光は光治の空席を見ながら苦笑した。 「なあ」 「ん?」 「今日転校生がくるんだってよ」 「へぇこのクラスに?」 「ああ、そう聞いてる」 こそこそと光に話しかけてきたのは先程朝練が終わって教室に入ってきた進だった。 「仲良くなれるといいなー」 「お前はあいかわらず暢気だなー」 光のいつもと変わらない調子に進は笑ってしまう。 ーーといっても進もそれ以上の感情はないわけだが。漫画のように女か男か、かわいいかかっこいいか、そうではないかなど2人には些細な問題なのであった。 「はーい静かにしてー」 チャイムと少し遅れて担任が教室に入ってくる。 喋っていた光たちもその声に合わせて前を向いた。
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