(一)

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(一)

 加島拓弥は自分の部屋のセミダブルのベッドの上で矢代実奈美の膣から自分のを引き抜くと、枕元にあるティッシュを二枚引き抜き、すっかり萎えた自分のそれについた自分と女のぬめりを拭き取り、そのティッシュを壁際のテレビの前のゴミ箱に投げ入れた。女の整えている吐息の音を無視し、拓弥は無言で浴室に入りシャワーを浴びた。 「もう……、今晩夜勤なのに。最近、いつも以上に凄いんだけど、何かあったの」  息を整え終えた実奈美が、あそこをティッシュで拭きながら、浴室から出てきた拓弥に言った。  「別に」と拓弥は応えながら、床の上に落ちているバスタオルを掴み上げて濡れた体を拭いた。 「今日もテスト勉強するの?」 「そう」  拓弥はボクサーブリーフに足を通しながらぶっきらぼうに返事した。 「私はいつも通り、もう少し寝させてもらうわね」  実奈美はそう言って掛け布団に潜り込んだ。  拓弥は着替えを済ますと教科書とノートが入ってやや膨らんでいる黒のトートバッグを掴み、部屋を出た。 (続く)
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