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『いらっしゃい!』
由香が勢いよくドアを開けて出迎えてくれた。
『素敵なお家だね。お邪魔します。』
『ほんと、いい家だな。』
私と直哉が由香に案内されて奥に進んでくと、高志が対面キッチンでお肉を焼いていた。
『おう!来たか!』
『玄関ドアが開いた時からいい匂いがしてたよ~。
高志、料理するんだね。』
『キャンプの時は俺が料理担当なんだぞ~!
結構美味いぞ~!』
お肉からは目を離さずにドヤ顔をしてみせた。
私が直哉と一緒に手土産に持ってきたワインと日本酒を高志の目の前に差し出したら『やった!サンキュ!』と嬉しそうに叫んだ。
直哉がフライパンを覗きに行って、2人で話し始めた。
私は由香に家の中を案内してもらうことにした。
一昨年に結婚し、今年の春、東京の郊外に出来上がった高志と由香の2人のお家は、アウトドア好きなこだわりが詰まっていて、シンプルながらも温かい空間になっていた。
泊まってねってことだったので、明日は休みをもらってきた。
『ほんと素敵だね。
こだわりのひとつひとつのエピソードが2人らしくて。』
『ふふふ。ありがとうね。
一番のこだわったお気に入りの屋上は後でみんなで上がろうね。
楽しみにしててね。』
『これ以上に一番こだわったのね!
それは楽しみ!』
『あ、今日、菅原先生も誘ったんだけど、ひとりでじっくり観測するよって言われちゃった。』
『そっか…、残念。』
とたんにしんみりした空気になった。
久しぶりに会いたかったな。
『由香、今日はお誘いありがとうね。
菅原先生にも声を掛けてくれてありがとう。』
私はあらためてお礼を言った。
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