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「えっ、そっちじゃないよ?」
「知ってるつーの、何回一緒に帰ってると思ってんだよ」
「どこいくの?」
「あー、焼き芋でもくわね?」
「焼き芋って」
ぷっと笑ってから、頷く。だって、少しでもこの時間を延長したい。焼き芋も好きだし。
「じゃあ、璃虎の好きな人の話! どうして好きになったの?」
「はぁ? まぁ、いいけど」
「いいんかい!」
意地でも答えてくれなかったのに、今日はやけに素直だなと思えば耳を赤く染め上げている。そんなに、好きなんだね、その子のこと。
応援したい気持ちと、嫌だが体の中で喧嘩してる。私が、相手だったらいいのに。女の子と話してるだけで、ヤキモチ妬いてしまうから、きっと応援してるふりは出来ても、応援はできないや。
「笑顔にしてくれたんだよ」
「へ?」
「いつもニコニコして明るくて、絶対辛い時だってあるはずなのに、周りのみんなのいいところ見つけてほめて回ってんの」
「それは、優しい人だね」
「以上!」
そんな子が私の周りにいたら、私にも少しは自信が付いただろうか。照れたように誤魔化して、小走りになって私を置いていく。
「あ、焼き芋屋さんみっけ!」
いつものやんちゃな雰囲気とは違う、少年みたいな可愛らしさにまたハートが溢れた。きっと私の想いを視覚化出来たら、あちこちに璃虎への想いが落とされてると思う。
全部、全部、璃虎に届けばいいのに。
追いかければ、焼き芋を買い終わった璃虎が半分に折って私に差し出す。
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