もっとずっと好きがいいの!

5/7
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「いいの?」 「いつものお礼」 「何もしてないけど」 「いつも褒めてくれんじゃん、いろいろ」  焼き芋を受け取れば、璃虎はぷいっと頬を背けて、私の目を見ない。珍しい璃虎の行動に、また、想いが一つコロンっと音を立てて転がった。コロン……? 「あー!」  しっかりカバンにしまったはずのガラスの瓶が、足元に転がっている。割れてはいないけど、ヒビが入っているし、閉まっていなかった蓋からハートがこぼれ落ちていた。  ガラス瓶を持ち上げれば、璃虎が隣にしゃがみこんで焼き芋を持ってる手と反対の手で、ハートを摘み上げる。大切に、割れ物みたいに、優しく。 「これ一個くれない?」 「へ?」 「いや、できれば全部」 「何急に」  璃虎の突然の言葉に、意味がわからない。ハートをあげるのは全然、いい。だって、そもそも璃虎への想いを私が具現化したものだから。 「分かりやすすぎって言ってんの」  璃虎の言葉に、まさか、と、嘘でしょ、が脳内を過ぎる。それ以来何も言わずに璃虎が焼き芋を頬張るから。私もガラス瓶をカバンに押し込んで、焼き芋を頬張る。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!