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口の中で甘く絡みつく焼き芋に集中してるフリをして、璃虎の横顔を盗み見る。相変わらず耳まで真っ赤だし、この反応はもしかして、もしかする?
期待しても、いい?
もしかして、本当?
ごくんっと大きい音を鳴らして、焼き芋を飲み込んだかと思えば璃虎がわざとらしく向き合う。
「好きだ! 好きだって言ってんの! ずっと好きだった!」
投げやりな言い方に、璃虎らしくて、好きの嬉しいよりも先に、ハートがまた一つ落ちていく。
「こころがずっと、好きだった。まさか同じだなんて思わなかった」
「どうしてわかったの?」
「全部覚えてるからだよ」
「覚えてる?」
璃虎の瞳がフッと揺れる。緊張とどう言おうか悩んでる時の顔だ。
「俺の声が優しいって褒めてくれたことも、イラスト可愛いって言ってくれたの、嬉しかったって言ってたことも、全部覚えてるから。だって、俺の方が先にずっとこころのこと見てたから」
ハート。ハート、ハート、ハート。たくさんのハートが私からポロポロとこぼれ落ちていく音がする。
濁して答えたはずなのに、私はだいぶ前に璃虎に答えを教えてしまっていたらしい。自分の失敗を理解して、顔を隠す。今の私どんな顔してる?
「答えは?」
「好きに決まってる。だって、璃虎のこと知るたびに好きが増えて、増えて、こんなに溜まっちゃったの」
カバンの中の八割ほど埋まったガラス瓶を璃虎に差し出す。勝手に好きになって、こんなに好きを溜めてきたの。嬉しくてどうにか、なりそう。
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