図書室の秘密

3/6
前へ
/6ページ
次へ
家に着いたのは午後七時をまわってからのことだった。 「あんた今日遅かったね」 と母に言われた。 「ちょっと学校で用事があってね」 と誤魔化してしまった。なんとなく誰にも知られてはいけない気がした。 「そうなの。とりあえずご飯できてるから食べなさい」 「わかった」 ご飯を食べたら卒業生の失踪のことを調べようと決めた。 事件はどうやら十五年前に起こったものらしい。人気小説家だった狩野雪乃さんが 『明日の鍵』 という小説を書いたことを最後に姿を消したというものだった。本の題名は手がかりになるかもしれない。ノートに事件の概要と、本の題名を控える。変化が現れる本というのは 『明日の鍵』なのだろうか。もしそうなのだとしたら、本を探すことから始めければいけない。明日彼に言ってみよう。何か彼も手がかりを探してくれているかもしれない。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加