図書室の秘密

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翌日。 同じ時間に図書室へ行くと、彼はもう来ていた。 彼は本を読んでいた手を止めて、 「来たんだ。じゃあ始めようか。何か調べてきた?」 私は昨日調べた内容を見せた。 「…なるほどね」 「『明日の鍵』を探さないといけないかな」 彼は何か考えているようだった。 「これ、実は連作なんだ」 しばらくして彼は呟いた。 「連作?」 「そう」 これ、みてと彼が画面を見せてきた。 『狩野さんの小説で1番人気があるのは、夜の闇シリーズである。『明日の鍵』は四部作の四作目』 はっとした。もし、狩野さんが何かを考えて、いなくなったのなら、それは仕掛けがあるのかもしれない。 「もしかしたらこの作品で最後にしようって決めてたのかもね」 「そうかもね」 「とりあえず本棚の中にないか探そう。本の中に何かヒントが隠れてるかもしれないからね」 本棚に向かう。五十音順に見ていくとすぐに見つかった。 『夜の始まり』、『真夜中』、『夜明け』、『明日の鍵』と並んでいた。 「僕、『夜の始まり』だけ読んだことがあるんだよね。朝が来なくなった世界で、主人公が朝を探しに冒険に出る話なんだけど、結構面白いから読んでみて。変化の手がかりも探さなくちゃいけないし、四冊全部借りて一度読んでみよう。何か気づいたら報告して」 「分かった」 「うん。僕、明日用事があるから、木曜日にまたここで。一冊でもいいから読んだら感想教えてね」
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