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南の島で華やかな結婚式を終えて、幸せいっぱいの俺たち。
マンションへ戻り、仕事に復帰してからも二人の興奮は冷めやらず、嬉しさと幸せで京輔と遼太郎に縋り付く。
仕事が終わって二人が帰ると、テーブルいっぱいの食事が並び、冷たいビールが注がれる。
食事が終わると、風呂を急かされ、風呂上がりには待ちきれない碧が京輔の濡れた身体に口付ける。
猛った京輔自身を口に含み、潤んだ目で見上げながら愛撫する。
週末だけの約束も今や碧自らが無視を決め込み、京輔を抱きしめる。
京輔は益々碧を甘やかし、昼のランチは必ずcafeを訪れ、BARではカウンターの隅から目を離さず見守った。
隣に座る未住帆が見過ぎだと肩を叩くくらいに目を離さない。
莉空とのパフォーマンスは益々熟練の域に達し、二人を見たさに週末の店内は常に満席の状態が続いた。
碧の美貌は心の安定と共に艶が増し、色気溢れる美丈夫となった。
元々の童顔はなりを潜め、引き締まった顔は男の魅力を醸し出している。
京輔に影響されて、服の好みも出立も極上の男に近づいた、京輔は魅力的になる碧に方時も心が休まる事がない。
週の初めは亜蓮と共にcafe《マノン》の厨房で働く碧、店の客に直接顔を見られるはずもないのに、マノンの従業員の評判がネットで拡散され始めた。
碧だけでなく亜蓮や莉空の三人揃ってイケメン揃いと噂が広まり、ランチの時間には一つ先の駅にある女子大の生徒が押し寄せる事態となった。
京輔と遼太郎にはビジネスマン専用の席が用意されているとは言え、女子大生に囲まれた二人は落ち着いて食事もできない日々が続く。
亜蓮が水とメニューを持ってテーブルに来ると、女子大生は一斉にスマ-トフォンのシャッターを押す。
迷惑だともいえず、にっこり笑いながら顔を背ける亜蓮に客は勝手にシャイだと騒ぎ立てた。
碧が厨房から顔を出すと、それを目ざとく見つけた女子が「キャッ」と声を上げ、店内はさながらアイドルcafeの様相を呈した。
他の客の手前、迷惑だとか写真禁止だとも言えず、噂が収まるのを待つしかないと諦めた。
それにしてもSNSの影響は大きく、情報誌の取材に街レポのオファーまで来た。
さすがに莉空が断ったが、莉空の方もどこから漏れたのか[cafe莉]の未住帆とイケメン義兄弟の話題が出回った。
義兄弟に嘘はないが、二人の関係がそれだけではない事は公表できるものではない。
ネットの情報や噂には信ぴょう性など関係なくアッと言う間に拡散されていく。
いちいち気にすることはないとはいえ、やはり本人は気になる。
だが人の噂も七十五日、夏休みが終わる頃には女子大生の興味も違う話題に移っていた。
落ち着いた店内で碧と亜蓮は今日もランチを食べに来る京輔と遼太郎を待った。
他のビジネスマンを圧倒するような上質のスーツを身にまとい、店内に一歩踏み入れると店内を見渡す遼太郎に白いシャツに黒のカフェエプロンの亜蓮が出迎える。
素知らぬ顔で水とメニューを勧め、オーダーを聞く。
慣れた仕草の亜蓮を見つめる遼太郎はゆうべの亜蓮の乱れた肢体を思い出し、疼く躰を冷たい水を飲んで抑え込んだ。
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