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【あらすじ】
思い出す事八年前の話だ。
これは誰が本当の事を言っているのか嘘をついているのか、分からない。
卒業を間近に控えていた高校三年生の高木は
同級生のシュンと一緒に高校から帰る約束をした。
――その約束通り一緒に高校から帰った翌日、
同級生が自殺をした事が知らされる。
事件は大きく報道されて、高木達の通っている高校にまでメディアの
手が回ったが事件の報道自体は大きなものにはならなかったので、
友人の自殺は単なる一つの事件という形で片づけられた。
それから数ヶ月、二年、八年と時を経ていく中で
過去の事件に対する思いは消え去っていったが
高校生の頃に憧れていた夢は大人になってもまだ夢のままだった。
それぞれ自らの道を歩み始めた頃、
深夜のコンビニである一人の女性に声をかけられた。
女性記者に八年前の自殺事件の記事を見せられて、
少し過去に事を述懐した後、
高木は再び自殺として報道された事件と向き合う事になる……。
そして調査を進めていくうちに浮き彫りになってくる過去のクラスメイトの今と、一つの誤算。隠されていた過去が徐々に明るみを帯びて、
それは時にメディアを困惑させて正しい情報をうやむやにする。
かつて、声をかけてきた女子生徒は今はアパートで食事の手伝いをしている。陽気だった男子生徒は何事も率先して行うようになっている。
一人だけが過去に取り残されている。
心の中に正しい情報とは何なのかを問う。
何のために彼は自殺という道を選んだのか?
そしてメディアはなぜ、それについて
むやみやたらに意見を聞こうとしていたのか?
八年の時を経て再び動き始めた歯車は、
どこかで止まってまた動き出してを繰り返す。
過去に起きた一つの事件と再び向き合う時、夜は道を選ばされて、
朝は誰かが楽を得るために逃げて、情報の争奪戦が繰り返される。
そんな渦の中の一つにしか過ぎない小さな歯車はまた過ちを犯した。
「八年前の同級生の死」
「執拗にインタビューをしていた雑誌記者」
「顔をあわせる事がなくなった女子生徒」
「残された手紙」
過去の事件が再び日の目を浴びるようになり、一人の青年の平坦な道のりは徐々に変わりはじめる――。
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