奇妙な電話

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奇妙な電話

「えっと、道に迷ったのですか?でしたら、道案内ご希望ですか?目的地を言ってください」  高速道路のコールセンターなので、道案内が中心。  中には暇つぶしの電話とか、文句を言いたいだけの奴とか、長々と言いたい放題言って、勝手に切る奴。そんな人らはだいたい、いたずら目的だ。  だから、私も事務的口調でどんどんやっていくだけ。お客様対応センターだから、言い返すのも駄目だし、怒って文句を言うことも出来ない。 「分からない奴だな、俺は暴走族に追われてるんだ。もしくは、何か分からない、危ない連中から。おそらくテスラに乗っているからだ。市営駐車場で盗難しかけたが、奴ら、俺に見つかっていったん逃げたんだ。だが、逆上して追いかけて来たんだ」  ねえ、テスラって何?  私は小声で、近くの席にいた同年代の亜梨花に話しかけた。  ”テスラ。一千万を超える高級外国車。今はやりの電気自動車。”  ありがとう。再び小声で伝えた。同僚が車好きで助かった。
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