同居の行方 3−3

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「同居の話をした次の日にね、松井の事務所に進太郎くんから電話があったのよ。 圭佑くんと話したかったみたいなんだけど、現場に出ちゃったところだったから、代わりに私が出たの。 そうしたら彼、『自分が雪ちゃんに片想いしてる状態で同居するっていうのは倫理的に間違っているし、ずるいと思うので、やっぱり他に住む所探します。』っていうのね。 だから私、雪絵を大切にする自信があるなら、ずるさを味方につけて射止めなさいって後押ししちゃった。 彼、少しの間、黙ってたけど、『お言葉に甘えてがんばります。』って。 もちろん、圭佑くんには何も言わなかったわよ。 それにしてもあの時、私が電話に出て本当よかったわ〜。ふふふっ。」 「。。。。。」 「さすがママ。あざとい。」  絶句する雪絵を横に遥香は礼子を絶賛している。  叔母も祖母も礼子のエキセントリックさを昔から知っているだけに驚くというよりも大笑いしている。  祖母なんて、『正月早々大笑いして福を呼んだから、今年もいい年になるわね。』と。  礼子はパントリーの奥からワインボトルを取り出してきて、私たちも新年のお祝いしましょうよと赤ワインのボトルを開けた。
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