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私が14の時、お父様が新しい母親を連れてきた。
彼女は目付きが鋭く、如何にも気が強そうな女だった。
「クリスティーヌ。今日からお前の母になるサラだ!」「よろしくお願いしますね。クリスティーヌさん」「……」
正直、母親なんてどーでも良かった。
アタシのママは数年前に死んだお母様だけだし。
それに、この女とはやっていけそうにないと思う。
だってアタシの趣味とは真逆のシックなダークグリーンのドレスにきっちり整えたシニヨン。
まるでメイドの様な態度の彼女を母親なんて思えない……。
こーんな金髪碧眼で、まるでフランス人形みたいって褒められる可愛いいアタシのママがあんなのだなんてありえない!!
だからアタシはお父様に言ったの。
「お父様。アタシ、あの人イヤよ!」「どうしてだい?クリスティーヌ」「だってアタシのお母様はお母様だけだもの……」「おぉ、クリスティーヌ」
お父様は私がママを亡くして寂しがっていると思ったんでしょうけど、だからと言って他の女をママだと思えって無理があるわ。
しかもあの女、いちいち煩いのよ?
私がメイド達の空きをついてお菓子を盗み食いした時、あの女がすかさず出てきて私を叱ったわ。
「クリスティーヌさん。駄目ですよ?勝手に食べてしまっては……」「はぁっ?アンタに関係ないでしょ!?」「いいえ、私は貴女の母親です。貴女を叱るのが私の勤めです」
なーにが貴女の母親ですだよッ!!
勝手に母親ズラしてんじゃないわよ!
だからアタシはお父様に告げ口した。
あの女にいじめられたってね?
「それに、あの人アタシをイジメるの!ヒドイわ……」「そうなのかい?あぁ…泣かないでおくれ、私のクリスティーヌ」
お父様はチョロいからアタシの嘘泣きですぐにアタシの言う事を聞く。
これであの女も此処から追い出されるでしょ……?
そう思っていたのだけど。
「おはよう御座います。クリスティーヌさん」
彼女は次の日も我がもの顔でこの屋敷にいた。
「な…なんでアンタがまだいるのよ〜〜!?」「クリスティーヌさん。人に指を差してはいけません。それに母親をアンタとは何事ですか?」「うっさいわねっ!!お父様は!?」「旦那様なら先程出掛けられましたが……」「あンの、クソジジィー!!」「クリスティーヌさん!お父様をそんなふうに言ったらなりませんよ?」「きいいい〜〜!!居候の分際でアタシに楯突いてんじゃないわよ!母親でもない癖に!!」「いいえ。私は貴女の母親です」
顔色ひとつ変えずに淡々と説教する彼女は心底ムカつく。
マジでなんなの、この女。
「アタシはアンタの事を母親だって認めてないから!!フンッ!」
ソッポを向いてその場を離れると、彼女は何も言わずにそのまま突っ立っていた。
「あの女……、ぜっっったい追い出してやるわ!」
アタシはあの女を排除すべく闘志を燃やした。
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