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第2話 紫の戦士登場
「こ、ここはどこ?」
あたしは振り返り部屋を見渡す。
一度ドアを閉めてまた開ける。状況は変わらない。
「何故?パパは?ママは?どこにいるの?」
あたしは足がガクガク震えぺしゃんと座り込んだ。
自然と涙が頬を伝わり手に流れ落ちる。
「ママ、ママ、ママぁ〜」
え〜ん。え〜ん。
『いつまで泣いてるんだ!』
『ちょっと、マロンやめなよ。その言い方』
『トマト。甘やかしてどうする。ラ・グースと戦うんだぞ』
『わかってるよ。これから仲良くするんでしょ』
あたしは黒く蠢く空間に浮かんでいる生物を見ていて、今不幸を背負っているのを忘れていた。
「あ、あの」
『何』
「貴方達は?ここは何?」
『ごめんね。自己紹介を忘れてた。私は…』
『おい』
その紫ともも色の生物が突然あたしに迫り、あたしを突き飛ばした。
その一瞬の間に今あたしがいた場所に黒い焦げた穴が空いている。今だに黒い煙が立ち上っている。
『やばい。この場所が見つかった』
『マロンどうする?』
『仕方ない。彼女に戦士になってもらう』
『しょうがないね、マロン急いで』
あたしはその生物達が話している意味が分からず只々見つめるだけだった。
『名前は?』
「えっ、えっと、みゆき」
『みゆきか、これからお前はティナだ』
マロンと呼ばれている紫の生物が、あたしの話を無視している様に聞こえて怒気を強める。
「あたしの話聞いてるの!」
『手元にあるコンパクトを開いて「変身」でも良いから唱えろ!』
「えっ、うん」
マロンの切羽詰まった様子にあたしは頷き手元をみる。
あたしの手に現れたコンパクト。白いコンパクトに紫のお花の模様が幾つか描かれている。蓋を開けると裏蓋に鏡がついていてあたしが写っている。
煤が頬や鼻やおでこに付いていて可愛くない。
「顔を洗わないと」
『そんな事を言っている場合か!早く唱えろ!』
「わかったわよ!唱えればいいんでしょ!」
え〜と。なんて言おうかな。
よく見ている少女向けのアニメを思い出す。
紫の子っていたっけ?
あたしはもも色の子。さききちゃんが好きなんだけどなぁ。
さききちゃんってなんて言ってたけ?
う〜んと。う〜んと。
すると、コンパクトから声が…
「すみれの花の力を借りて…パープルパヒューム」
コンパクトから眩い光が溢れてあたしを包み込む。
えっ!パジャマが…
紫を基調としたワンピースに赤いリボンが胸に、スカートがチューリップ型になり、白と紫のハーフブーツと白いロンググローブをはめ、紫の戦士に変身した。
可愛い♡
髪型がボムからテールに変わっていて、唇にほんのりピンクのリップが塗られ、チークも乗っている。
これからテールにしようかなぁ。
と、コンパクトの裏蓋にある鏡に右、左の横顔を映す。
『何をしているラ・グースと戦えよ』
「どうやって?」
『どうって、コンパとに聞いてみろ』
「コンパクトさん。どうやって、ら、ら、らなんとかを倒せばいいの?」
『まあまあ、ゆっくりしてて良いのよ。私とゆっくりとお話しましょう』
『おい。パーミャ!呑気な事を言ってる場合か!』
コンパクトの裏蓋の鏡に写っているパーミャと呼ばれている美しい女性が微笑み。
『ちゃっちゃとやっちゃいましょうか』
パーミャはそう言うとあたしの体を動かした。
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