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 人生十七年目の秋、私の青春は完璧だった。 「俺さ、余命三ヶ月らしいんだ」  いつもの帰り道、並んで歩きながら、同い年の彼氏が耳を疑うようなことを言い出すまでは。 「えっ……えっ!?」 「しかも、前世が犬で」  ただでさえ面食らっているのに、わけの分からないことを重ねるから、ますます頭が混乱する。 「ちょっ、みっ、みっくん?」 「ほんとは百歳超えてるとか。いやぁ、困っちゃうなぁ」  呼びかけても、彼はどこか遠い目で前方を見つめたまま、淡々と続けるばかりだ。 「ゴールデンレトリバーだって。かわいくない?」  言われてみれば、彼の生まれつき栗色の髪はこうして夕陽に当たると金色に見えて、それがゴールデンレトリバーっぽくも……ってそうじゃなくて! 「俺は十七歳になれるんだろうか……」  相変わらず心ここにあらずな雰囲気で告げられた縁起でもない一言に、 「っ! 美雪(みゆき)!」  私は思わず彼の前へ立ちはだかった。彼がこの世で最も嫌いであろう、彼自身の名前を叫んで。 「ねぇ、さっきから何言ってるの? ちゃんと説明して」
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