月夜に夢の君と

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 「兎に角ここにいたら危ないの!一緒に来て!」  私の大きな声に、男の腕の中にいた猫が驚いて家屋の中へ逃げて行った。それとほぼ同時に、ピシピシと建物の軋む音、それからガタガタガタ…と地響きが伝わって来た。  『えっ!?』  私たちは顔を見合わせて、驚いて目を見開く。  グラグラと地面が大きく揺れだした。  「きゃっ」「うわっ」  今までに体感したこともないような大きな揺れに、私たちは立っていられず、よろめいて転んだ。  「じ…地震!?」    建物がギシギシ不穏な音を鳴らし、「キャー」「ワァー」と遠くの方で建物の崩れる音や悲鳴が聞こえてきた。  ドドドゴゴゴ…と、建物の崩れる音は徐々に近づいてくる。  「ヤバい…あ、猫…」    部屋の隅っこでブルブル震えている猫を、男は迎えに行く。  「あ…猫ちゃん連れて…早くここから出ないと!」私も咄嗟に後を追う。  メシメシドォォォン  一瞬前まで私たちが居た縁側の天井が崩れ落ち、私は背筋が凍り付いた。猫はその衝撃に驚いて、男の手をすり抜けて瓦礫の隙間から逃げて行ってしまった。私たちは二人部屋の中に取り残されて、昨日の夢のシーンが重なる。  
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