月夜に夢の君と

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 「こっから早くでなきゃ」  「うん…」  私はメグルに支えられながら立ち上がった。左足は思ったより痛みが強く、力が入らない。  「つかまって」  「わっ」  メグルは私を軽々と抱き上げて、戸を蹴り破った。  男らしく優しく、頼もしいメグルに私はすっかり心奪われていた。  もしかしたら吊り橋効果というやつかもしれない。それでも、この腕の中にいつまでも守られていたいと思ってしまった。   「大丈夫かー?」助けに来た男二人の姿が見えた。    「あ、あっちだ…良かった…」  メグルがそう言って男の方に足を踏み出した時、メグルの体がグラリと傾いて、私は二人の男の方へと投げ出された。  そして、メグルの頭上にガラガラガラと瓦礫が崩れ落ちてきた。  「え!?」  みるみるうちにメグルが瓦礫の下敷きになっていく。  嫌…嫌だ…    ―――どうして!?  崩れ落ちる瓦礫、宙に浮いた私の体がスロー再生のように感じられた。  このシナリオは変えられないの?  それならどうして…私とメグルは…  私は「イヤーーー!」と、叫び声をあげながら目を覚ました。  地面に叩きつけられたような衝撃を感じて、ベッドがユサユサと揺れていた。  「っつ…」  左足に痛みを感じて目をやると、内出血の痕と木片がたくさん刺さって血がにじんでいた。    やっぱり、夢だけど夢じゃなかったんだ…  ―――メグル…    私はメグルが心配になった。  あんな瓦礫の下敷きに…  私を抱えてなければ、すんなり逃げれたかもしれないのに…  
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