月夜に夢の君と

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 講義の後、バイトがあるからと帰っていく玲奈を見送ってから、私は市内の大きな図書館へと向かった。  課題のレポートのための資料探しに来たのだが、やはり最近よく見る夢の方が気になってしまって"夢"についての本を探す。  "夢診断"、"夢と記憶の関係"、"夢の役割"、"夢の意味"…  私は何冊か手に取って、そのうちの一冊を開いてみた。パラパラとページをめくって、気になる箇所を読んでみる。  『夢は、その人が体験して得た情報を引っ張り出して、ストーリー化されたもので、潜在意識が…』  なんだかピンとこない。  あんな恐怖、実際に体験なんかしていないし…  まさか、予知夢?  スピリチュアル的な?  自分でそんな風に考えたくせに「まさかそんなわけないかぁ〜」と、心の中で笑い飛ばす。  だがそんなことを思った数分後、私は有名な占い師が書いた本を手にしていた。  "夢で前世の記憶をみる"、"魂の輪廻転生(りんねてんしょう)"、"ソウルメイト"…  テレビの特集とかで目にしたこともあるが、(にわ)かに全てを信じられない。だが、こんなことが実際にあるのなら、それはそれで面白いなと思った。  そして、その日の夜。  私はまた同じ夢を見た。
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