月夜に夢の君と

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 「ねぇ、どう思う?」  私は、夢のことから今朝のことまで一部始終を玲奈に話した。  「どうって…ただの夢でしょ?叶夜、疲れてるんだよ。その煤は気のせいだったんじゃない?怖い夢見て、気持ちがそういう方向にいってたんだよ…」  私の話を、玲奈はケラケラと笑いとばした。元より現実主義の玲奈は、占いとかそういった(たぐい)のことは信じない主義だ。それをわかっていて話した私も悪いのだが、なんだか煮え切らない。  とはいえ、こんな風に笑い飛ばされてしまったら自信もなくなる。やはり、時間が経つごとに夢の記憶はだんだんと朧気(おぼろげ)になってくるのだ。  「でもやっぱり、ただの夢だと思えないんだよね…」  「その、恭介さんってイケメンなんでしょ?俳優なんじゃないの?昔に見た映画のシーンとかさ」  「そうなのかなぁ…」    私がいつまでもうだうだ言っているので、玲奈は「きっとそうだよ!それよりさ…」と、一方的に自分の推しの話を始めた。  玲奈には悪いが、私は玲奈の話を適当に聞いて相槌しながら、"今夜も同じ夢見るかな…"と考えていた。  怖いもの見たさとでもいうのだろうか、あんなに怖くて嫌だと思っていた夢なのに、私は何度も見るその夢のを解明したいと思うようになっていた。  
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