月夜に夢の君と

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 私は朝イチの講義中「夢を見ればいいんだから夜じゃなくてもいいじゃん?」と思い立って、他の予定を全て取りやめて帰宅した。そして、私は無理やりベッドに潜り込んだ。  案外すぐに微睡んで、眠りにつくことができた。  それなのに、夢を見るどころか驚くほど快眠で、気づけば四時間も眠りこけていた。  目覚めた時には、西の窓から差し込む日差しで、部屋がオレンジ色に染まっていた。  覚悟を決めて挑んだのに、拍子抜けもいいところだ。  やっぱり、あの夢に特別な意味なんてないのかな…  他のアプローチ方法も思いつかないので、私は現実と向き合うことにして、後回しにしていたレポートに取りかかる。昼寝のおかげで頭は冴えて、レポートに集中する事ができた。  「終わったー!」  私は満足げに伸びをして、時計に目をやると九時を過ぎたところだった。  時計を見たとたんに空腹感に襲われて、私は徒歩五分の所にあるコンビニへ向かった。  夜風が冷たくて、もう少し厚手の上着を着てこればよかったと後悔した。すっかり夜の(とばり)が降りた雲一つない星空を見上げて、ふぅと吐いた息は白かった。  今夜は新月。星月夜だ。  もしかして…  何故だかわからないけれど、あの夢は夜にだけ見ることができるのではないか…そして、月と何か関係があるのではないかと思った。  夢で見た、雪のチラつく夜空の満月が、今もはっきり目に浮かぶ。  たかが夢にどうしてこんなに入れ込んでいるのか自分でも理解に苦しむが、私の中の何かがそうさせていた。そうしなければならないように。    この日、私は飲み慣れないお酒を飲んで、無理やり眠りについた。  
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