人気者

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

人気者

「のんちゃーん! 一緒にご飯食べよ!」 「のんちゃん、後で勉強教えてー」 「のんのん、さっき男子たちがあっちで呼んでたよ」 いつも思う。 私は人気者なのだと。 私にかけられる声は日々絶えない。 男子も女子も関係なしに、ただ仲が良い。 「深田、どうしたん?」 クラスの女子に言われて、私を呼んでいた男子たちのもとへ近付く。 「ちょ、のんのん深田だけ?」 「俺もいるよ〜」 深田以外の男子が明るいノリで返してくる。 「あっ、そうそう。今度また遊びおいでよ」 深田が思い出したように私に言った。 「今度スタバ奢ってくれるならいーよ。勉強教えてあげる」 「誰も勉強なんて頼んでないよ。勝手にオプション付けて支払いを発生させるな」 深田は小さく吹き出した。 「のんちゃーん。ごはんー」 そこで、先程も私を昼食に誘った少女の催促が聞こえた。 「由香、ごめん、すぐ行く。深田、この話はまた後でね」 私は深田に手を振ると、由香のもとへ急いだ。 人気者。 そう、私は人気者でなくてはいけない。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!