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音楽室の前に田中さんが立った。
そっとドアを開け、ドア付近の壁にある照明のスイッチを押した。
ぱっと、部屋が明るくなった。
「悪霊退治って、どうするんだ?」
先生が、訊いた。
田中さんが、中に入りながら答える。
「霊もいろいろなので、話が通じる相手とは話します」
「人間と同じだな」
と言いつつ、先生はドアの前から動かない。
「先生、邪魔」
小林さんが、先生の身体を横から押して、空いた場所から中に入ろうとした。
「あっちゃん、入らない方が良いよ」
田中さんが、少し強い口調で言った。小林さんは、思わず足を止めた。
がたがたがた・・
音楽室の椅子が、ひとつまたひとつ、細かく振動を始めた。
天井の照明が、消えたり、付いたりしだした。
バーン!!
「ぎえええぁ!!」
ピアノのけたたましい音に、先生は悲鳴を上げ、ふつっと気を失う。
仰向けに倒れて来た先生を山田くんが支える。
「ちょっ、先生!?」
「まゆちゃん!」
「話が通じない相手みたい」
田中さんは、残念そうにそう言うと、しゅるりと布袋の口を開いて、中から自身の片腕分の長さはある刀を取り出した。
山田くんは、目を見開いた。
「それ、、本物?」
「二人とも、下がっててね」
田中さんは、そう言って、布袋を捨てた。
スラリ。
田中さんは、刀を抜いた。模造ではない。鋭い輝きを纏う鍛え抜かれた真剣だった。
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