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来た廊下を戻る時、小林さんが、山田くんに謝った。
「ごめんね、関係ないのに来てもらって。まゆちゃんと一緒に行きたかったんだけど、だめって言われると思ってさ。一人で来るのも怖いし」
山田くんは、笑った。
「関係なくないよ。俺だって音楽室使うし。来れて良かった。田中さんのかっこいいとこ見れたし、先生の可愛いとこ見れたし」
「だね~!」
小林さんは、にたあっとして後ろの先生を振り返る。
「あんま、言い触らすなよ」
先生が、力無く笑って言った。
田中さんは、笑っている山田くんを見て思った。
私は、山田くんのこと、すごいと思うよ。
優しいし、夏休みの宿題、ちゃんと出したじゃん。
私、あの時、すごいって思ったんだよ。
田中さんは、そう思ったけれど、口には出さなかった。
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