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すると、どうしたことだろう。名乗ってもいないのにさぁーっと人がよけていき、キリコさんの前に道ができた。創世記のあのシーンのように。
この道は、他の誰でもない、キリコさんのための道だ。キリコさんが歩いていくための。
道の果てにはシュンスケがいる。でも、キリコさんにまだ気づかない。
「キリコさん! どこ行ったんだよう!」
シュンスケは天井に向かって、叫んだ。
「キリコさん! 好きだー!」
おお〜、と、どよめく。笑いも混じっている。
そして道が、ここにある。
だから、キリコさんは歩いていくしかなかった、シュンスケのところへ向かって。
導かれるまま、歩いた。
おわり
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