3人が本棚に入れています
本棚に追加
それからは、恐ろしいほど静かで何もない日々が続いた。
当初は警戒レベルがマックスに引き上げられ、誰も彼もが常にピリピリとした空気を漂わせていた宮殿も、あまりにもなんの知らせもない日々が続き、緊張もだんだんと解けていく。
一週間、一ヶ月、一年、十年、百年……
何年経っただろうか。
天使達はもうほとんどが緊張感を無くし、警備も穴だらけになるほど手を抜いてしまっていた。
彼らの狙いはそこだったというのに。
「ふぁ……眠……」
「おいおい随分とデカい欠伸だな。昨日はお前休みだっただろ、寝てないのか?」
「いやぁ、逆だ逆。寝すぎた。寝すぎて、寝ても寝ても眠いって感じだわ」
「羨ましいな、おい!俺も明日休みだし、寝まくる一日にすっかな〜」
大欠伸をカマしながら、ヘラヘラと談笑をする門番。
遠方からフードを被った人影が二つ近づいて来ていることに気が付かなかった。
「なんかアイツら楽しそうじゃん?目論見通りだな、ハイドラ。」
「あァ、エニグマ。今からあのヘラついたクソ共の顔がぐちゃぐちゃになるって考えたら…
クク、最高だなァ…」
__ザク、ザク、ザク
「ん…?なんだお前ら?怪しい格好して……
止まってフードを取」
__スパッ
__ボトリ
最後まで言葉を発する前に、首は胴体を離れ地面へと落ちた。
「お前らの首が開戦の狼煙だ…
大事なお役目だ、しっかりこなせよ?」
ハイドラとエニグマは、門番の首を手に天の門を潜った。
最初のコメントを投稿しよう!