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「さあ、何処から攻め落とす?誰から殺す?」
門番の天使の首を持ちながらハイドラとエニグマは街中を歩く。
背後では魔界から連れてきた悪魔達が、住人の殺戮を始めていた。
「そうだな…とりあえずポセイラを探すかァ」
「海神か。何処にいるんだ?」
「それがなァ…俺様もよく知らねェんだよな。
とりあえず宮殿を虱潰しに荒らしてけば見つかんだろ」
「ここに来て急に雑だな、おい…」
いっそう高い場所に聳える宮殿を、ハイドラは睨んだ。
ポセイラを殺す、ではなく探す、と言ったのは無意識だった。
まだ心のどこかで期待していたのかもしれない。
ポセイラも自分に会いたがっていて、会えば昔のようにまた戻れるかも、と。
幼い頃から仲良くしてくれていたポセイラとルステルくらいは殺さずに仲間にしてやってもいいかもしれない。
そうしたらエニグマも合わせて四人で、また毎日のように楽しく遊ぼう。
長年の天界への恨みと闇への深い接触を経て残忍な性格に変わってもなお、まだ二人のことは憎めなかったのだ。
心做しか軽い足取りで、二人は宮殿に足を踏み入れた。
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