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「懐かしいな…全然変わってねェ」
数百年ぶりに足を踏み入れた宮殿を、懐かしさと恨みが混ざった目で見渡す。
対してエニグマは、始めて見る宮殿の豪奢な内装に舌打ちをした。
「ハァ〜羨ましいぜ、ハイドラァ。
虐げられてたとはいえ、こんな綺麗な場所で暮らしてたんだもんなあ!」
意地悪にニヤつくエニグマのブラックジョークに、ハイドラも顔を顰めた。
「うるッせーな…
肥溜め育ちにゃ刺激が強すぎるかァ〜?」
負けじと嫌味で返すハイドラ。
しかし話しながらも、二人の片手は剣を振るい、闇を纏わせ、道中の天使の首を刎ねている。
美しい廊下は血で汚れ、二人の笑い声と天使の悲鳴が響き渡っていた。
_____
「お、ここは……」
ハイドラがふと足を止めた。
噴水のある広い中庭。
幼い頃にポセイラとルステルとよく遊んだ場所。
始めて闇の力が暴走し、ポセイラを傷つけ、自分も酷く傷ついた場所。
今もところどころ草花が生えていない場所があり、嫌でも昔を思い出させた。
「何だ?思い出の場所か?
いい場所じゃねぇか」
__ドサッ、バサバサバサ…
唐突に背後から物音がした。
「え、あ、ぁあ、は、ハイドラ……?」
探していた、ポセイラが腰を抜かしていた。
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