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「ハァ、ハァ…ッ
相変わらず早いなルステルは…」
「へっへーん、遅いぞポセイラー!
ハイドラはまだかな?」
「アイツ足遅いからなぁ」
走り出して少ししてから姿が見えなくなったルステルにポセイラはようやく追いついたものの、彼は既に噴水に到着していた。
しかも息も全く切れておらず、ポセイラは内心「体力どうなってんだこのバカ」と毒づいてみたりした。
「ヒィ、ヒィ」
「お」
「ハイドラ〜がんばれ〜」
「も、もうムリ……」
ようやく姿を見せたハイドラを急かす二人。
だが息も絶え絶えで前がまともに見えていないハイドラは、角を曲がってこようとする二つの人影に気づかなかった。
「あっ、危ない!ハイドラ止まって!」
「、ひ、ハァッ…ぅわぷっ」
__ドサッ
案の定衝突。
しかし倒れたのは相手ではなく衝突したハイドラだった。
ぶつかられた女性は手に持っていた紙の束を落としただけである。
少しよろめきはしたが、横にいた男性に支えられ事なきを得た。
ルステルは二人に急いで駆け寄った。
「ハイドラ!大丈夫?」
「いたた……だ、大丈夫…」
「……ぶつかったら謝るのが先よ、ハイドラ」
女性はハイドラを一瞥して低い声で注意し、ぶつかってきた腹部を軽く払う。
「あっ、うぁ…ご、ごめんな、さ…」
「アトライア!ごめん!
僕がハイドラを急かしたせいだから…責めないで」
不機嫌そうな女性__アトライアは、栗色の髪を手ぐしで直しながら地面に散らばった紙の束を集めようと腰を屈めたが…
「アトライア、私がやるからそのままでいいよ。
ハイドラも怪我は無いかい?」
横にいた男性がアトライアが屈むより先に手早く束を集め、ハイドラの頭も優しく撫でたのだった。
「ヘリオルも!ごめん!」
「ルステルが謝る必要は無いのよ、気にしないで。それじゃあ私たち急いでるから」
「こらアトライア、その態度はやめなさい。
気にするなよハイドラ。今日はきっと機嫌が悪いだけなんだ。
寝たら元に戻るさ!ハハハ!」
栗色の髪の朗らかな男性__ヘリオルは朗々と笑いながら、足早に去ったアトライアを追いかけて行った。
「ハイドラ、大丈夫?ごめんね…
追いかけっこ苦手なのに無理させた僕のせいだ」
「ううん、前を見てなかったぼくが悪いから…」
「アトライアもあんな怒ることないのになー、災難だったなハイドラ。切り替えて別の遊びでもしようぜ!」
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