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「でも、可愛いよ。匠海」
と、奏人さんは猫耳を引っ張る。
「それマジで言ってる?」
「そりゃそうだろう。きみにお世辞を言ったってしょうがない」
「いや、お世辞っつかフォローじゃないの?」
「……あのねえ、確かに僕は好奇心は旺盛な方だけど、似合いもしないものをきみに着せて喜ぶ悪趣味はないよ」
確かに。
そういうとこは案外シビアで正直だ。
ってことは、コレは奏人さん的には気に入ったんだろう。
「……まあ、あんたがいいならいいけど」
「きみは?恥ずかしい?」
今度は尻尾を引っ張る。
くん、と尻尾に釣られて紐が引かれると
「っ!」
「ん?」
「……や……その……」
無理やり前に被せた布はずれて擦れるし、後ろは食い込むしで結構辛い。
黙ってると
「……この尻尾は神経も通ってるのかな?」
って、また引っ張る。
「っ……ンな訳ないだろ」
「ふぅん?」
とぼけてる割に、意地悪く様子を観察するみたいに、くいくいと引っ張る。
「……っ……分かってやってるだろ」
振り返ると
「さあ?」
にこりと笑って言う。
「でも、なるほどねえ。なんとなく楽しみ方が分かって来たよ」
「オモチャかよ」
「あのね、匠海。僕はオモチャっていうのは嫌いなんだよ。なんで恋人の体をあんな無粋なもので弄らなきゃいけないんだい」
「……は?」
「だから、コレは違うだろう」
尻尾を手に真顔で力説するのやめて欲しい。
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