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「……だよなぁ。別に男の俺がこんなもの着けたって」
内心ホッとして言うと
「え?」
「……え?」
「いや、僕が着けたいとは思わないけど、きみがというなら興味はあるよ」
「……へっ?」
奏人さんは、整った顔立ちに品の良い、けど有無を言わせぬ笑みを浮かべる。
「僕が興味があるならと思って持ってきてくれたんだろう?」
「しかし、普通のというか……女性と付き合っている男性はパートナーにこういう格好をさせたいものかねえ」
袋から出したのをつまみ上げて、しげしげと奏人さんは見つめる。
「そうなんじゃないの?」
つっても、俺が女で、彼氏にいきなりこれ着てって言われたら、そりゃ引くだろと思うけど。
「まあ、耳くらいなら許容範囲だけどな」
「じゃあ、着けてごらんよ」
と猫耳つきのカチューシャを差し出す。
「……いいけど」
別にこれくらいなら、と手に取ったものの。
いざ着けてみると平気な顔して『どう?』と顔上げたりできない。
思ってた以上にめちゃくちゃ恥ずかしい。
「匠海。ちゃんと見せて」
う……。
ちら、と顔上げると、すごい見られてて耳まで熱くなる。
「っ……もういいだろ!着けたから」
外そうとすると
「匠海」
「……なに」
その甘い声、イヤな予感する。
「どうせなら、尻尾も見たいんだけど」
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