雄猫二匹 ―金木犀と神隠し Halloween ver.―

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「……あのさ、でもこれ、尻尾だけクリップとかじゃなくって、コレにくっついてるんだけど?」  尻尾を取り上げると、だらりとほぼ紐のTバックが垂れ下がる。 「穿いてみればいいじゃないか。どうせ僕しか見ないんだし」 「いや、でも」 「僕の前で恥ずかしい格好をするのは慣れてるだろう?」    それとこれとは違う。 「いや、コレ着けるなら全裸のがむしろ恥ずかしくない」 「それは確かに」 「だったら」  言いかけて、考える。  経緯はともかくコレを持ち込んだのは俺だ。  で、こんな面白そうなオモチャをこの人がスルーするわけないのもある程度分かってた。  見せびらかしといて今さら嫌だと言うのも違う気がしてきた。 「……そんな見たいの?」 「そりゃね。耳だけでもそんなに可愛いなら」  笑顔で言われたら断れない。  俺、その辺の彼女さんたちよりよっぽど優しいんじゃないだろうか。 「……あのさあ」 「うん?」 「情けなくて死にそうなんだけど」 「それは困るねえ」  全部脱いで猫耳と紐パンだけ着けてベッドに座った俺の後ろで、奏人さんは紐ブラの首と背中を結びながら笑う。  下は、奏人さんには後ろ向いててもらって自分でやったけど、女でも面積足りなそうな小っちゃい布に収まるわけがなく。  ほんの気持ち程度マスクみたいに被せた有り様は自分で見てもホントに情けない。
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