ヒカリ

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「……うーん。」 スマホのアラームで目を覚ます。 こんな小鳥の囀りが聞こえる、気持ちのいい朝はどこにあるのか。 また、朝だよ。 ずっとそう。 毎晩思う。朝が来なければいいのにって。 目が覚めたと同時に始まる一日は僕にとって何なのだろうか。 そんなことを考えながらいつものように顔を洗う。 「……はぁ」 鏡に映る自分と目が合う。 「……ねぇ、君は幸せ?」   なんて、聞いてみるも返事はない。 そりゃそうか。 目の前の自分の目に光はない。 僕は何をしているんだろう。 「あっ、やばい!」 こんな事をしていたから、時間ギリギリになってしまった。 慌てて着替え、家を出る。 バス停で次のバスを確認する。 これならなんとか間に合いそうだ。 少し休もうとベンチに座る。 眠い目を閉じるまいと戦っていると、視界にシャボン玉が現れた。 その出所を目で辿ると、一人の女の子がいた。どうやらこの子が吹いていたらしい。 微笑ましいなと眺めていると、雲に隠れていた太陽が顔を出した。 空を見上げると、僕はその光景に思わず息を呑んだ。 真っ青な空をバックに浮かぶ白い雲に、太陽の光を反射して輝くシャボン玉。 写真を撮って額縁に入れて飾りたい程美しい。 今まで見た景色の中で一番と言っても過言ではないくらい綺麗だった。 女の子の愛くるしい笑い声が聞こえる。 明日は気持ちのいい朝になる、と何故か僕はそう思った。
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