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「……ちょっと……止めて下さい」
それから顔を背けると、彼は私の頭を鷲掴みにして下半身へこすりつける。
「わかってるよ。君も気持ちよくさせてやるから、心配しなくていい。やっぱり素人の引きつる顔はたまらないな」
彼はくっくっと引き笑いながら、さらに私の顔をこすりつけた。
叫ぼうにも恐怖とぼやける意識で動けない。
怖さで全身が震え、背中にすっと汗がつたう。逃げ場はなく、抵抗したところで力で勝てるわけがない。下手したら命の危険さえある。
下半身に無理やり顔を押し付けられながら、私は「嫌です。助けて」涙をこぼした。
すると突然だった。
ガン、ガンガンッ
「開けろ、開けるんだ」
扉の外で怒声がし何度もドアは叩かれ、荒木さんのあれはみるみるうちに小さくなる。
目を白黒させて戸惑う彼をよそに、鍵が壊されドアが勢いよく開けられた。
そこに立っていたのは見知らぬ男性で「このクズが」荒木さんは殴られ、下半身をあらわにしたまま壁へ飛ばされる。
助けてくれた男性をかすれる視界の中で捕らえると、身長が高く切れ長の綺麗な目が特徴的で、八重歯をのぞかせる口元は整った形をしていた。
その人は私へ視線を向け「怖かったろ?もう大丈夫だ」と柔らかい声で言う。
私は『うわ、すごいイケメン』と思った瞬間、意識が途切れた。
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