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頭痛で歯を食い縛りながら目覚めると、朝日に照らされた見知らぬ真っ白な天井があり、自分の家ではないことに気づく。洗い立てのフローラルな香りがするシーツにふかふかのベッド。
「……どこ、ここ?」
こめかみに指を当てて呟くと「あ、起きたわね」知らない女性の声がした。
目を大きく開いて私は声のほうを見る。
ベリーショートでボーイッシュな、はっきりとした目鼻立ちの見知らぬ女性が私の顔を覗き込んでいた。
訳もわからぬまま「あの……どちら様で……私は一体……」痛む頭の中、記憶を辿るとはっとした。
おぼろげながら昨日のことを思い出し全身に悪寒が走ると同時に震え出す。
「もう大丈夫だから安心して。怖い想いをしたね。ここは私の部屋で他には誰もいないから」
女性はそっと包むように私の手を握り「伊都ちゃん、落ち着くまでゆっくり休んで」微笑む。
「どうして私の名前を?」
「あの後、警察が来てあなたの身分証を確認して教えてもらったの」
「警察?」
「うん、そう。多目的トイレの扉を破壊してあなたを助けたのは私の上司。伊都ちゃんを襲ったのは連続レイプの常習犯」
「……常習犯?」
「若いから知らない男に付いて行っちゃダメよ。どんなやつかもわからない訳だし」
「でも、その上司さんは、なぜ私の居場所をご存知だったのですか?それに身の危険を覚悟で助けて下さるなんて……」
「泣いていたあなたに近づいた男が、高級なお酒を次から次へ飲ませてたところを見ていたらしいの。しかも普通ならウイスキーと一緒に飲むチェイサーと呼ばれる水を断るなんて怪しいなと思ってたって。まるで早く酔わせたいような飲ませ方だと」
「……早く酔わせたい」
「それで伊都ちゃんがトイレに行ってる間、男が周りを警戒しながらあなたのグラスに粉を入れていたから、気になったらしい。酔いつぶれたあなたを男が抱えて連れていくときに、床に何か落としたものを見て、うちの上司は外へ出てあなた達を探したみたい」
「落とした?何をですか?」
「薬の空き袋。バジリアゾラムってお薬で強めの睡眠導入剤。うちの会社……ロニー製薬が作ってるやつ」
「す、睡眠導入剤?」
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