234人が本棚に入れています
本棚に追加
/212ページ
この調子だと晩ご飯に食べられるかなぁ。
いや、昼ご飯でもいけるかと思いつつ、とりあえず朝はお粥にしようと冷蔵庫を閉めて、キッチン台のレトルトパウチに手を伸ばした。
おかゆを湯煎で温めている間にスマホを手に持ちイチくんにメッセージを送る。
『昨日はありがとう。ごはんも助かります』
鍵はイチくんが掛けてドアポストに入れてくれていた。ベッド横のナイトテーブルに置いているのは知っているから、勝手に戸締りをしてくれたようだ。
開けていても何も盗る物などないけど、一応オートロックもないアパートでは防犯も大切。
メッセージを送った数秒後に既読サインがついて、その後すぐに電話がかかってきた。
通話をボタンを押すとイチくんの「ひばりちゃん、おはよ」と昨日と同じのんびりした声が聞こえてくる。
「あ、イチくん?昨日はありがとうね」
『いえいえ、熱は?』
「まだ計ってないけどだいぶマシ」
『そっか。よかった。昨日目が死んでたもんね』
そんなに?
確かに、意識も朦朧としていたから否定はできない。イチくんを迎え入れるために起き上がれたのもわりと奇跡だったのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!